SUZUKA 8 HOURS 鈴鹿8時間耐久ロードレース

8耐直前!元世界ライダーでジャーナリスト八代俊二がDUNLOPチームを分析!

FIM 2006 世界耐久選手権シリーズ第5戦 “コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第29回大会 2006.7.27?30開催
8耐直前!元世界ライダーでジャーナリスト八代俊二がDUNLOPチームを分析!

日本列島を襲った記録的な豪雨の影響で
今年の8耐の試験走行は各チームとも苦戦している。

今年の8耐の試験走行は雨に祟られていて、これまで何度か行われた試験走行も雨に泣かされました。今日も鈴鹿は相当強い雨が降っています(インタビュー取材は7月20日に行われました)。昨日は午後に入って奇跡的に天候が回復したんですが、やはり路面が完全なドライになるまでには至らなくて、ハーフウェットのような状態でしたね。おまけにこれだけ気温が低いと、来週の本番で梅雨が明けて晴れたら気温も全然違うし、まったく参考にならないだろうというのが、今日走っていた各チームの声でした。中にはマシンを走らせていないチームもあるくらいです。けれど、このコンディションで何台か転倒しているマシンも目にしたので、それはそれで賢明な判断のような気もします。

低い気温とウェットコンディションが続く中でレース本番にベストマッチするタイヤを選ぶことの難しさ。

こんな状況の中で、ダンロップも一生懸命に何種類かタイヤを作って来ているようで、今は色々なタイヤを履かせてみて、いいものを探している段階だと各チームも話していましたが、いかんせんこの天候と路面コンディションでは、特に本番が晴れて気温が上昇した場合のベストチョイスを探り当てることは事実上不可能ですから、タイヤ選びはレースに参加する全てのチームが頭を痛めている問題です。
しかし、もう本番まで時間がありませんから、ガンガン追い込んで造って作っていくしかありません。まさに今年の鈴鹿8耐は、タイヤ選択が優勝の行方を大きく左右することになると思います。

SUZUKI CASTROL TEAMは選手のバランスもよく、戦闘力の高いチームだ!

今日も北川選手とは話をしましたが、本人はいい意味でいたって淡々としていましたね。
ペアになるV・フィリップ選手は以前、GPで加藤大治郎選手と同じチームにいたことのあるライダーで、彼は性格もとても穏やかな人物です。元々、レベルも高いものを持っているので、注目しています。
知ってのとおり8耐は、2人(世界耐久選手権レギュラーチームは3人でも可)のライダーが交互に走るので、選手のバランスがとても重要です。誰かが速くて、誰かが遅いというのでは勝てない。そういった意味でSUZUKI CASTROL TEAMは、世界耐久選手権レギュラーチームの中でもスプリンターが揃っていて、戦闘力が非常に高いと思います。
レースの戦い方はもちろん、彼らは耐久のプロですから、そんなに入れ込んでいるようには見えないけれど、淡々とプロの仕事をして、必ず上位争いに絡んでくると思いますよ。

YSP&PRESTOレーシングの最大の武器は
2人のペアが同じセッティングで走れることにある!

それから21番の中須賀選手。YSPの彼も走っていましたね。今日の時点ではペアで走る中冨選手はワールドが今週あるので(7月23日のWBSスーパーバイク世界選手権Rd.8 チェコ戦)、まだ鈴鹿入りしていませんが、彼が昨年の8耐で走った仕様のクルマの延長線上というか、割りと乗りやすいマシンに仕上がっているという話ですね。そう考えると、今は中須賀選手がセッティングを詰めている段階ですが、このチームは基本的にはどちらかに合わせなければならないということがなくて、2人とも同じようなセッティングのマシンで走れるというのは相当な強みです。どちらかが無理しなくてもいいわけですから・・・。一方のライダーだけに偏ったセッティングをすると、自分に合っていないセッティングのライダーは辛いわけですよ。そういう意味ではハンデがないというか、お互いが気持ちよく走れることで、チームとしてのモチベーションも上がってくると思います。
タイヤに関しては、中冨選手は世界選手権ではレギュレーション上、違うものを履いていて(昨年までは全日本同チームにてダンロップタイヤ使用)、8耐ではダンロップを使うことになりますから、足回りのセッティングについては中須賀選手が中冨選手が日本に戻って来るまでに、ある程度は決めておかなければならないでしょう。

今年のモリワキMOTULレーシングは
若手ライダーたちの爆発力に期待大!

このチームは森脇選手とL.キャミア選手が組んで走るわけですが、森脇選手は先日の鈴鹿300キロ耐久でもクラス3位に入ったし、キャミア選手も昨年、イギリス選手権ST600でチャンピオンをとり、イギリスでも速いという評判を聞いているし、昨年の8耐を見る限りでも、長い手足で大きなマシンを操ることにアドバンテージを感じていたようでしたから、今年に入って一段と成長していることを楽しみにしています。
特に外人選手の場合は、いざとなると結構な力を出したりしますからね。2人ともまだ若い選手なので爆発力に期待したい。それがいい方向に出れば大いに可能性もあるんじゃないかと…。彼らの若さに期待したいですね。

梅雨明けが勝敗のカギを握っている。

今年の鈴鹿8耐のポイントは、何といってもレース当日までに梅雨が明けるか明けないかにかかっています。予選と本戦の2日間の天候が、レースの勝敗を大きく左右することになると思います。天候と気温、路面状態によってマシンコンディション、ライダーのモチベーション、タイヤの選択、あらゆる要素が変ってきますからね。とにかく、いつもの年とは一味違うレース展開が期待できる予感がします。

八代俊二 八代俊二
1960年生まれ。24歳で国際A級に昇格した頃から執筆活動も開始する。昇格1年目でTT−F1初代チャンピオン。'86年から最高峰の500ccクラスに転向。参戦5戦目のスポーツランド菅生で初優勝。翌年から、HRC契約となり「ロスマンズホンダ」の一員としてWGPに参戦。以後2年間ワークスライダーとして活動後、'90年にレース活動を休止。'94年にスポット参戦した鈴鹿8耐ではプライベートチーム最上位の6位に入賞。これを機に以後レース活動から完全引退し、以後ジャーナリスとして活動。
約20年に渡るライダー&ジャーナリスト活動で様々なタイプの市販車やワークスマシンに試乗、多くの専門誌に試乗記を執筆。さらに、元WGPライダーの知識と経験、情報収集力を活かしたテレビのレース解説には定評がある。
『八代が斬る!』第2回